台風の尻尾に吹かれ時事マンガ 林 宣子 |
気象衛星から台風をみると確かに尻尾のようなものが
ある。この句の面白いところは台風に吹かれるのではなく、その尻尾に吹かれると表現した点だ。 犬が尻尾を振ると周囲に
風が生まれるなあと苦笑いした。その面白さと時事マンガがマッチする。
こぼれ萩母の背中をみた様な 前田 清子 |
こぼれ萩なので萩の花が散っている。その風情から母の背中が想像されたのだ。
子は親の背中をみて育つという。 背中とはその人の素の部分だ。萩の花のイメージから作者の母親のイメージも連想できる。
また「〜た様な」で終わる表現がユニークだ。「ごとし」などとは違う新しい響きがある。
青年の口笛を聴く冬のプール 山中 康子 |
屋外の冬のプールは水が張ってない。水のないプールはそれのあるプールよりも音を反響しやすいのではないか。近くで青年が
口笛を吹いている。それをプールが聴いているような感じがするのだろう。夏のプールでは響きが出てこない。青年と冬の対比が魅力。
扇風機座敷童子のごと隅に 内山 思考 |
鳥取県境港市の水木しげるロードに行ったときに座敷童子の像をみたような気がする。扇風機が童子のように部屋の片隅に。扇風機の
夏は怪談の夏でもあり、取り合わせがいい。

浜木綿や探りていたる旅鞄 紙谷 香須子 |
私の住む宮崎県の県花はハマユウである。渥美清主演の「男はつらいよ」
シリーズの撮影が宮崎県で一度あった。「寅次郎の青春」というタイトルだったと思う。 渥美は俳句をたしなんでいたようで、彼の句碑が
日南市に残っている。そのような背景もあってか、この句から映画の寅さんを想像してしまった。
寅さんには旅の鞄がつきものだ。海岸に寝そべった彼が鞄のなかを探している光景がふと浮かぶ。
ひまわりはうしろの空を率いたり 赤松 勝 |
ひまわりは向日性の植物。常に花を太陽に向けている。この句はひまわりが
第一「うしろの空」を率いているという。 ひまわりが日輪に向って花を回転させる際に、バックの景色を引き連れているように見えるのだろう。
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